皆さんこんにちは。
これまでのブログでは、
などの概要をまとめてきました。
また、前回は、
東グータ地域内に取り残された人々と環境に焦点を当て、
という点を、まとめました。
このブログでは、前回に引き続き、東グータ地域内の人々について、
食料の状況は?
保健・衛生の環境は?
という2つの項目についてお伝えします。
食料の状況
2017年7月以降、ワフィデーン越境ポイントを使った物資往来ができなくなり、東グータ地域内の環境は悪化してきました。
地域内では、食料の流通業者が在庫を補充できず、限られた食料への需要は高まり、市場価格が跳ね上がる結果となりました。
2017年10月時点で、シリア国内の食料価格に比べ、東グータ内の食料価格は9倍になるなど、住民が購入できないほど高騰しています。
深刻な食料不足、食料価格の高騰、低い購買力という環境により、住民は最低限の食料を得ることができなくなっています。
より購買力が低い母子家庭にとっては、生きるための食料の確保が更に難しい状況です。
十分な食料を確保できない住民は、1日に1回しか食事を摂らないようにするなどして、命をつないでいます。
また、グータ地域内で主要産業だった農業も、前線が農場付近に迫り近寄れなくなり、農作物の種や耕作に使う燃料も不足しているため、耕作できなくなっています。
保健・衛生の状況
東グータ地域では、医療品(医薬品、ワクチン、消耗品、医療器具)が不足しており、十分な救命サービスを提供できていません。
また、医療施設は空爆の標的となっており、攻撃で医療施設は損壊し、医療従事者が被害を受けるなど、医療サービスの提供を妨げる要因となっています。
地域内には、数百人の重症患者がおり、域外での治療を受けることについて許可を求めていますが、シリア政府はこれを許さず、治療を受けることができずに亡くなる住民も出ています。
医療施設に患者として登録されている半数以上は、女性と子どもとされています。
東グータ地域内の医療施設の3分の1は機能しておらず、医療品や医療用品の在庫も日々減っています。
支援団体が域内へ支援物資を運ぶ際は、医薬品や医療用品の補充は制限(または拒否され)るため、支援物資として運び込まれる医療関連物資は必要な量の20―25パーセントに満たないとされています。
まとめ
- 2017年7月以降、越境ポイントを使った物資の往来ができなくなってから、東グータ地域内で食料を得ることが難しくなった
- 1)深刻な食料不足、2)食料価格の高騰、3)低い購買力という3つの要素が重なることで、地域内の住民は、最低限の食料を確保できなくなっている
- 医療施設は攻撃対象となっている
- 医療施設の3分の1が機能しておらず、医薬品・医療用品ともに不足しているため、十分な医療サービスを提供できていない
- 数百人の重病患者が、域外で治療を受けることを求めているが、殆どの重病患者は域外にでることを許されていない。許可を待っている間に、亡くなる住民が多数出ている。
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