皆さんこんにちは。
これまでのブログでは、“包囲”とは何か?という疑問から始まり、東グータ地域での、“包囲”の開始時期や犠牲者数についてお伝えしてきました。
過去のブログについては、以下からアクセスしてご覧下さい。
東グータ地域に取り残された人々 (1)
東グータ地域に取り残された人々 (2)
東グータ地域に取り残された人々 (3)
”包囲”された環境で生活する人々。
どの分野(食べもの、栄養摂取、住む場所、水など)においても、支援を必要とする人々が多い状況です。
このブログでは、東グータ地域について、分野別の「人道支援ニーズ」をお伝えしたいと思います。
東グータ地域の人々の人道支援ニーズ
人道支援ニーズについて、国連やReach Initiativeのデータを基にお伝えします。
※2018年1月現在の東グータ地域の状況としてお読み下さい。
アクセス(人やモノの往来)
まず、東グータ地域へのモノの運搬ですが、商用トラックと支援物資ともに十分な量が運び込まれていません。
2017年中、東グータ地域へは、人道支援物資を積んだトラックが16回アクセスすることができましたが、2017年9月以降、支援物資を運び込むことはできていません。
商用トラックの運搬について、2017年11月末頃から、少量ながら東グータ地域内へ食料が運び込まれてきましたが、域内住民の需要を満たす量ではありません。
人の動きは更に制限されています。
正規の越境地点は、ワフィディーン検問所のみですが、2017年11月時点で、同検問所を使って、東グータ地域から出入りできた人数は、住民の10パーセント以下です。
その他、NGOなどの人道支援団体が支援を行い、地域内にいる一般市民を支えています。物資を運び込むことは出来ないため、支援手法は、主に現金支援が中心となっています。
人やモノの往来が殆どできない状況のため、東グータ内の食料価格も上昇し続けており、首都ダマスカス市と比べると、3倍の食料価格になっています。
塩や砂糖の価格は、近隣地域に比べて、それぞれ14倍、4倍の水準となっています。
栄養摂取の状況
国連は、東グータ地域に住む人々は、急性栄養失調のリスクが最も高く、慢性的な栄養失調についても、最も支援を必要とする人々が多いとしています。
子どもの栄養失調も深刻であり、ACASPは、少なくとも1,500人の子どもが栄養失調状態にあるとしています。
2017年11月に行われた調査(REACH)では、東グータ地域にいる、生後6ヶ月から4歳未満の幼児のうち、約12%が急性栄養失調状態であることが分かっています。
これは、東グータ地域が、シリア国内で最も急性栄養失調状態の幼児が多い地域でことを表しています。
栄養失調と食料不足により、住民の方が命を落とすケースについても、継続的に報告されています。
シリア系NGOが、急性栄養失調の幼児に対する支援を行ってきていますが、支援ニーズに十分応えることができていません。
まとめ
- 東グータ地域では、支援物資を積んだトラックのみでなく、商用トラックも十分にアクセスすることができていない。
- アクセスの制限が、地域内の食料価格高騰につながっている。
- 東グータ地域内からの「人」の往来も、殆ど不可能な環境にある。
- 東グータ地域は、シリア国内で、急性栄養失調及び慢性栄養失調のリスクが高い地域とされている。
- 子どもの栄養失調も深刻であり、シリア国内で急性栄養失調状態の子どもが最も多い地域である。
次回の記事でも、東グータ地域での支援ニーズについて、分野別にお伝えしていきます。
関連記事:
東グータ地域に取り残された人々 (1)
東グータ地域に取り残された人々 (2)
東グータ地域に取り残された人々 (3)
参照:
FACTSHEET – EAST GHOUTA (UNOCHA, 2017.12.8)
Eastern Ghouta Situation Overview (REACH, 2017.11)