前回に引き続き、東グータ地域についてのブログです。
まだ読まれていない方は、こちらの記事をご覧ください。
前回は、東グータ地域の概要、“包囲された地域”の定義、いつから“包囲”され始めたのか、という点について触れました。
今回のブログでは、まず、シリアでは、他にも包囲された場所があるのではないか?
その地域を誰が”包囲” しているのか?という点を明らかにしたいと思います。
そして、東グータ地域に取り残された人々の環境を知るために、最後に支援物資が運ばれたのはいつだったのか、という点について触れます。
包囲されているのは、東グータ地域のみ?
いいえ、違います。
シリアでは417,000人が包囲された地域に住んでおり、うち、94%の人々が東グータ地域に住んでいます。
各地域の人口の内訳は、以下の通りです。
地域 | 包囲されている人数 | 包囲している勢力 |
東グータ地域 | 393,000人 | シリア政府軍 |
ヤルモック | 12,500人 | シリア政府軍、ヌスラ戦線、イスラム国 |
フォア、カフラヤ | 8,100人 | 反政府勢力 |
マザレット・ベイト他 | 3,646人 | シリア政府軍 |
(出典:UNOCHA)
誰が包囲しているのか?
包囲している主体は、シリア政府軍が95%以上(人数で換算)を占めており、残りの5%は、反政府勢力、ヌスラ戦線、イスラム国です。
東グータ地域へ、最後に支援物資が運ばれたのはいつ?
IRINによると、最後に支援物資が運びばれたのは、2017年10月30日です。
トラック49台が地域内へ入り、お米や油などの支援物資が運び込まれました。
もちろんですが、食料の量は、東グータ地域にいる人々が、十分な栄養を補給することができるものではありませんでした。
東グータ地域には、政府軍に知られずに、人やモノが運べる「地下トンネル」などがありましたが、それらの輸送経路は全て破壊され、完全に”包囲”された状態となりました。
現在、地域内では、栄養失調の子どもが増えており、取り残された人々は、命の危険に晒されています。
まとめ
簡単にまとめます。
- シリアには、東グータ地域以外にも包囲された地域があり、417,000人が包囲された地域で生活している
- そのうち、94%の人々が東グータ地域で生活している
- 包囲主体は、シリア政府軍が多くを占めるが、反政府勢力、ヌスラ戦線、イスラム国も包囲主体である
- 2017年10月30日以降、東グータ地域内へは食料などの支援物資が届いておらず、地域内の人々は、命の危機にさらされている。
関連記事:
東グータ地域に取り残された人々 (1)
参照:
The man-made disaster in Syria’s Eastern Ghouta (IRIN, 2017.12.19)