※5月11日15時(シリア現地時間)から過去24時間の動きを反映
東グータ地域、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況
イドリブ県、ハマ県北部の状況
まとめ:
- 過去24時間、露/シリア軍は、イドリブ県南部・ハマ県北部に対し砲撃と空爆による攻撃を行った。カフルジータ近郊では、樽爆弾による攻撃が行なわれた。(参考)
※樽爆弾は、爆薬と金属片を詰め込むことで殺傷能力を高めた爆弾。定めた標的に命中する精度が低い。シリア軍は、民間人を含めて危害を与えることを目的とし、主に人口密集地への無差別攻撃に樽爆弾を使用している。(参考)
樽爆弾の使用及び無差別攻撃については、2014年2月に安保理決議2139を全会一致で議決し、使用を止めることで合意している。同決議では、1)民間人への攻撃、2)兵器の無差別使用、3)人口密集地への砲撃や樽爆弾などによる空爆、を停止するとしている。然しながら、この決議が採択されてからも、シリア政府は、樽爆弾を使用し続けている。
- 5月10日、イドリブ県ナケイル村では、露軍の砲撃により女の子1名が亡くなった。犠牲になったのは、ハマ県北部出身のハラ・アリム・ラフムンさん。(参考)
- ハマ県北部には、首都ダマスカス南部の包囲地域(ヤルモック東部)からの避難者を乗せたバスが到着した。
- 5月11日、トルコ軍の視察団がイドリブ入りし、イドリブ県西部に到着。バダマ付近に新たな監視所を設置する模様。(参考)
- イドリブ県の包囲地域(フォア、カフラヤ)では、反政府勢力と政府系勢力が衝突した。戦闘により、反政府勢力戦闘員2名が死亡した。(参考)
※カフラヤ地域には、主にシーア派の住民と親政府系の戦闘員が住んでいる。2016年1月11日から、反政府勢力に包囲されている。地域内には、政府軍が定期的に空中投下で食料や生活用品を支援しており、また、不定期に赤十字国際委員会(ICRC)や世界食糧計画(WFP)が支援物資を運び込んでいる。(参考)
フォア地域は、カフラヤ地域と隣接しており、同様にシーア派の住民と親政府系の戦闘員が住んでいる。2016年1月11日から、反政府勢力に包囲された状況が続いている。地域内への支援は、カフラヤと同様に、政府軍と国際機関(ICRC、WFP)が実施している。(参考)
東グータ地域の状況
まとめ:
- シリア人権監視団は、ドゥマ地区での2件の化学兵器攻撃(今年4月7日)について、シリア政府が関与した可能性が高いとする報告書を発表した。同報告書では、シリア政府による化学兵器攻撃は216件以上であるとし、この化学兵器攻撃で1,461名(子ども185名を含む)が亡くなったとしている。(参考)
同報告書には、露軍が、ドゥマ地区の化学兵器使用現場を訪問した際、同行したメディア関係者(シャディ氏)の証言も掲載されている。以下、概要。
「露軍が、攻撃により親族を失った男性への聞き取りを実施した際、記録しないように指示した。他の遺族は、聞き取りで、明確にアサド政権に責任があると伝えていた。当時、(ドゥマ地区は)まだ反政府勢力支配下にあったため、政府軍による報復などの恐怖や圧力は感じていなかっただろう。露軍の現場訪問は10分ほどで、写真だけを撮影し、サンプルは持ち帰らなかった。」(参考)
アフリン地域の状況
- 過去24時間、アフリン地域では戦闘行為は行なわれておらず前線に動きはない。5月11日時点で、タルアフィアート地域は、クルド人民防衛隊(YPG)と親シリア政府武装勢力(NDF)が支配している。
※2018年1月20日、トルコ軍は自由シリア軍(FSA)とともにアフリン地域への軍事侵攻を開始。主にクルド人民防衛隊(YPG)と激しい戦闘を行った。2018年3月18日、トルコ軍がアフリン市を制圧した時点で、トルコ政府は、アフリン地域を完全に支配したと発表した。
同3月25日、YPGと親シリア武装勢力(NDF)支配下となっているアフリン地域の一部(タルアフィアート地域)について、トルコ大統領は軍事侵攻を行うとの発言をしたが、これまで軍事作戦は実施されていない。
シリア人権ネットワークは、アフリン地域での戦闘による民間人被害者は、564名と発表している。(参考)
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