ダマスカス南部、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況(5月12日時点)

※5月12日15時(シリア現地時間)から過去24時間の動きを反映
ダマスカス南部、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況

イドリブ県、ハマ県北部の状況

まとめ:

  • 露/シリア政府は、ハマ県北部に対し、砲撃による攻撃を実施した。前線付近に位置するアルタマナやアルザカットが標的となった。負傷者についての情報は出ていない。(参考
  • 5月10日、イドリブ県東部サラケブ近郊で、2名の遺体が発見された。死亡した背景については分かっていない。2日前から連絡が取れなくなっていたとのこと。(参考
  • 5月11日、イドリブ県北部アリハ近郊の検問所で手榴弾による攻撃が行われた。同事件は、反政府勢力(ソゥクルアルシャム)が管理する検問所で発生し、爆発で戦闘員1名が死亡した。主犯は不明。(参考

    ※イドリブ県では、4月26日以降、何者かによる暗殺事件が続いている。 これまでの被害者は、主に反政府勢力(HTSを含む)戦闘員、元政府軍高官、警察関係者。ただし、武装勢力とは関係のない民間人も攻撃対象となっている。現在も、主犯は不明。攻撃方法としては、待ち伏せでの襲撃に加え、道路脇に簡易爆発物(IED)を仕掛けての攻撃が多い。これまで暗殺されたのは30名以上。

  • 5月11日、イドリブ県南部には、ホムスの包囲地域からの避難者を乗せたバスが到着した。避難したのは、包囲地域から撤退した反政府勢力戦闘員と住民、合わせて約3,500人。

    ※2018年4月15日以降、ホムスの包囲地域に対し、政府軍・親政府武装組織(NDF)・露軍は軍事侵攻を開始。地上軍の侵攻に加え、包囲地域内へ無差別の爆撃が続いた。露軍は、民間人被害を気に留めない攻撃を行うと同時に、包囲地域からの民間人の脱出を阻むため検問所を閉鎖。撤退条件に従わせるための圧力を掛けた。

  • 5月2日、ホムスの包囲地域を支配していた反政府勢力は、撤退することで露政府と合意した。5月7日、反政府勢力戦闘員と住民は、シリア北部への避難を開始。露政府と反政府勢力は、1)反政府勢力のシリア北部への撤退、2)重火器の放棄、3)徴兵忌避者に6ヶ月間の猶予を与えること、などの条件について合意した。
    参考1)(参考2)(参考3

地図:イドリブ県、ハマ県北部、アレッポ県西部(2018年1月末時点)
Derived from work by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 4.0 license.

ダマスカス南部の状況

まとめ:

  • シリア北部のアルバブキャンプの様子。4月1日にトルコ政府が同キャンプを設置。主に、東グータ地域ドゥマ地区から避難者が生活している。この記事では、支援団体「Space of Hope」の活動が紹介されている。(参考
  • 米国国際開発庁(USAID)のレポート。
    ・(2018年3月9日以降、)東グータからシリア北部へ避難したのは、約16万人
    ・東グータからダマスカス郊外の避難所へ避難したのは、約4.4万人
    ・シリア全土で、包囲地域に住んでいる人口は、12%減った。
    参考
  • シリア人権ネットワーク:2012年11月に政府軍により拘束されていた兄弟2名(アハマッド/ガッサン・フマイディ)が、拷問により2015年1月31日に亡くなっていた。2名はハマ県出身。ダマスカス市で買い物をしていたところ、政府軍に拘束され、行方がわからなくなっていた。(参考

    ※この手の話は、シリア人の知人達から何度も聞いた。

    ・父親が政府軍に拘束され、現在も行方が分からなくない(20代男性)

    ・拘束された後、ありとあらゆる拷問を受け、理由が分からないまま2ヶ月後に釈放された(30代男性)

    ・友人が拘束され、半年後に戻ってきた。拷問で、右手首を固定した状態で天井から吊るされた。後遺症で、右手は腫れ上がり、現在も使うことは出来ない。(20代男性)

    ・政府軍に拘束され、拘置所に連れて行かれた。左右に部屋のある廊下で、1時間ほど待たされた。部屋からは、許しを請い泣き叫ぶ声が聞こえた。突然扉が開き、看守に連れられた人は裸で体中にムチで打たれたアザがあった。目を伏せた状態で連れられていった。その後、理由も伝えられずに、解放された。その時の恐怖は忘れられない。(30代男性)

    この拘束と拷問が、過去から現在まで続いていることを忘れてはいけない。

地図:東グータ地域(2014年2月27日初版作成)
Created by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 3.0 license

アフリン地域の状況

  • 過去24時間、アフリン地域では戦闘行為は行なわれておらず前線に動きはない。5月12日時点で、タルアフィアート地域は、クルド人民防衛隊(YPG)と親シリア政府武装勢力(NDF)が支配している。

    ※2018年1月20日、トルコ軍は自由シリア軍(FSA)とともにアフリン地域への軍事侵攻を開始。主にクルド人民防衛隊(YPG)と激しい戦闘を行った。2018年3月18日、トルコ軍がアフリン市を制圧した時点で、トルコ政府は、アフリン地域を完全に支配したと発表した。3月25日、YPGと親シリア武装勢力(NDF)支配下となっているアフリン地域の一部(タルアフィアート地域)について、トルコ大統領は軍事侵攻を行うとの発言をしたが、これまで軍事作戦は実施されていない。

    シリア人権ネットワークは、アフリン地域での戦闘による民間人被害者は、564名と発表している。(参考

地図:アフリン地域(2018年1月21日作成)
map created by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 4.0 license.

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