ダマスカス南部、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況(5月21日時点)

※5月21日15時(シリア現地時間)から過去24時間の動きを反映
ダマスカス南部、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況

イドリブ県、ハマ県北部の状況

まとめ:

  • 過去24時間、露/シリア軍は、ハマ県北部・イドリブ県西部に対し、空爆を砲撃による攻撃を実施。この攻撃により、ハマ県北部カフルジータの農場で火災が発生している。
  • 5月20日、イドリブ県ジャバル・ザウィヤの武器庫が爆発する事件があった。爆発の原因は不明。現在のところ、負傷者に関する情報は出ていない。(参考
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  • シリアでは、多くの人々が避難所でラマダンを迎えている。イドリブ県に避難した男性は、ダマスカス南部の包囲地域にある実家が砲撃され、妻と子どもが殺された。砲撃で瓦礫から救出されたが、右足に重症を負い、自分で歩くことができない。(参考
  • ※簡易の避難キャンプ(テント)の様子など、包囲地域からイドリブ県に避難した人々が、どの様な生活を強いられていて、どのような不安を抱えているのかが伝わる動画だと思います。

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  • 5月18日、ハマ県北部の政府軍基地での爆発事件について、「サラヤ・ジハド」という武装勢力が声明文を出した。シリア北部では聞いたことのない組織のため、新たに結成された武装組織のよう。(参考

    ※5月18日昼頃、ハマ市西部(政府側)にある政府軍の空軍基地で、複数の爆発が発生。シリア人権監視団は、この爆発で、少なくとも11名が死亡したとしている。爆発は、軍事施設内の武器補給廠と空軍基地で発生。イラン軍防空システムが標的となったとの情報もある。国営メディアは、爆発があったことだけを伝え、詳細については触れていなかった。(参考
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  • 米国政府は、シリア北西部からの支援を取りやめることを決定した(CBS)。シリア北西部での支援は、長期的な効果が期待できないことと、過激派の存在を理由として挙げている。(参考

    この文脈での過激派とは、米国が「テロ組織」としているHTS(Hay’at Tahrir al-Sham:元ヌスラ戦線戦闘員により構成)を指している。HTSは、米国務省が定めるテロ組織一覧には含まれていないが、在シリア米国大使館により「テロ組織」として指定されている。(参考

    ※シリア北西部とは、イドリブ県、ハマ県北部、ラタキヤ東部の反政府勢力の支配地域を指す。

    資金拠出取りやめの理由は、i) 米大統領が、米軍の撤退を示唆したことによる方針転換、ii)シリア北西部でのトルコの影響力の拡大、iii)長期的な支援金拠出の回避、だと考える。この動きに伴い、欧州諸国の負担が増えることになる。

    これまで、米政府は、HTS(元ヌスラ戦線で構成)が存在することを理解した上で資金拠出を続けてきたことから、過激派の存在を理由として資金拠出を取りやめるというのは妥当な理由には聞こえない。

    シリア北西部のうち、イドリブ県は、支援を必要とする人口が特に多い。これまで、イドリブ県には、住む場所を失ったシリア人が避難してきているため、とりわけ脆弱性が高い人達が住んでいるからだ。

    2018年1月時点で、イドリブ県には265万人が生活していた。5月現在、シリア南部・中部の包囲地域から、数十万人の避難者が流入しているため、人口は300万人近くになっており、支援を必要とする人口が更に増えている。

    米政府は、支援ニーズが高まっているこの状況で、シリア北西部への資金拠出(2億ドル ≒ 約220億円分)を取りやめる決断をすることを意味する。(参考)(参考2

地図:イドリブ県、ハマ県北部、アレッポ県西部(2018年1月末時点)
Derived from work by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 4.0 license.

ダマスカス南部の状況

まとめ:

  • 5月20日、ダマスカス南部の包囲地域(ヤルモック・キャンプ)から、避難者を乗せたバスが出発。住民は、シリア北部へ避難すると報じられている。住民の多くはパレスチナ難民。また、「イスラム国(ISIS)」戦闘員を乗せたバスは、ホムス東部のバディに向け出発した。「イスラム国」の撤退を受け、本日(5月21日)、政府軍はヤルモック地域に入域した。(参考)(参考2
    ※国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、2018年2月時点で、ヤルモック・キャンプには、約6,200人のパレスチナ難民が住んでいる。また、シリア全土では、約5万人のパレスチナ難民が政府軍に包囲された地域に住んでいる。(参考

地図:東グータ地域(2014年2月27日初版作成)
Created by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 3.0 license

アフリン地域の状況

  • 過去24時間、アフリン地域では戦闘行為は行なわれておらず前線に動きはない。5月21日時点で、タルアフィアート地域は、クルド人民防衛隊(YPG)と親シリア政府武装勢力(NDF)が支配している。

    ※2018年1月20日、トルコ軍は自由シリア軍(FSA)とともにアフリン地域への軍事侵攻を開始。主にクルド人民防衛隊(YPG)と激しい戦闘を行った。2018年3月18日、トルコ軍がアフリン市を制圧した時点で、トルコ政府は、アフリン地域を完全に支配したと発表した。

    3月25日、YPGと親シリア武装勢力(NDF)支配下となっているアフリン地域の一部(タルアフィアート地域)について、トルコ大統領は軍事侵攻を行うとの発言をしたが、これまで軍事作戦は実施されていない。

    シリア人権ネットワークは、アフリン地域での戦闘による民間人被害者は、564名と発表している。(参考

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  • トルコ系報道機関:フランス軍は、シリア東部のイラク国境沿いの6ヶ所に砲台を設置。場所は、ディリゾル県バグゾル近郊で、クルド系勢力支配地域。(参考

地図:アフリン地域(2018年1月21日作成)
map created by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 4.0 license.

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