ダマスカス南部、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況(5月17日時点)

※5月17日15時(シリア現地時間)から過去24時間の動きを反映
ダマスカス南部、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況

イドリブ県、ハマ県北部の状況

まとめ:

  • 露/シリア軍は、ハマ県北部・イドリブ県南部に対し、砲撃と空爆による攻撃を実施。この攻撃で、民間人に死傷者が出ている。
  • シリア人権監視団:5月16日、ハマ県北部マンソウラ近郊では、政府軍の砲撃により、民間人7名(子ども1名、女性1名を含む)が亡くなった。同地域を移動していた民間人の乗った車輌付近にミサイルが着弾したとされている。(参考
  • シリア人権監視団:5月15日、ハマ県北部カフルジータ市では、政府軍の砲撃により民間人2名(女性1名とその夫)が亡くなった。(参考
  • 5月16日、トルコ軍は、イドリブ県北西部に12箇所目の監視所を設置した。前回のシリア和平協議では、緩衝地帯(de-escalation zone)の設置についても協議され、トルコ政府は、シリア国内に、12ヶ所の監視所を設置することを約束していた。今回の監視所設置で、予定した監視所設置を完了したことになる。(参考

    ※前回のアスタナ協議では、緩衝地帯(de-escalation zone)の設置についても協議され、トルコ政府は、シリア国内に、12ヶ所の監視所を設置するとしていた。

  • 5月16日、ハマ県北部には、ホムスの包囲地域からの避難者を乗せたバスが到着した。これまで包囲地域からは、2万人以上の民間人と戦闘員が非難してきている。地元の自治会は、大規模な避難者の流入により、避難所が不足しているため、迅速な避難所の支援を求めている。(参考)(参考2

    ※2018年4月15日以降、ホムスの包囲地域に対し、政府軍・親政府武装組織(NDF)・露軍は軍事侵攻を開始。地上軍の侵攻に加え、包囲地域内へ無差別の爆撃が行なわれた。露軍は、民間人被害を意に介さない攻撃を行うと同時に、包囲地域からの民間人の脱出を阻むため検問所を閉鎖。撤退条件に従わせるための圧力を掛けた。

    5月2日、ホムスの包囲地域を支配していた反政府勢力は、撤退することで露政府と合意した。5月7日、反政府勢力戦闘員と住民は、シリア北部への避難を開始。露政府と反政府勢力は、1)反政府勢力のシリア北部への撤退、2)重火器の放棄、3)徴兵忌避者に6ヶ月間の猶予を与えること、などの条件について合意している。
    参考1)(参考2)(参考3

  • ホムスの包囲地域では、反政府勢力の撤退と住民の避難が完了したことから、シリア政府が完全制圧の声明を出した。ラスタンやハーブ・ナフサ地区では、政府軍が国旗を掲げた。反政府勢力の撤退に伴い、首都ダマスカス-ホムス間の高速道路が通行できるようになった。(参考

地図:イドリブ県、ハマ県北部、アレッポ県西部(2018年1月末時点)
Derived from work by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 4.0 license.

ダマスカス南部の状況

まとめ:

  • ダマスカス南部の包囲地域(ヤルモック:ISIS支配)では、政府軍による軍事侵攻が継続。政府軍が優位に戦闘を勧めている。両勢力が地上戦(ハジャール・アスワード、タダモン地区)で衝突していることに加え、ヤルモック内では、激しい空爆と砲撃が続いている。住民の多くはパレスチナ難民。(参考

    ※国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、2018年2月時点で、ヤルモック・キャンプには、約6,200人のパレスチナ難民が住んでいる。また、シリア全土では、約5万人のパレスチナ難民が政府軍に包囲された地域に住んでいる。(参考

  • ******

  • シリア国連特使(デミストゥラ氏)は、アスタナで開催されたシリア和平協議について、イドリブでの最悪の事態を避けることができたとし「希望を持てた」と発言した。また、東グータ地域とイドリブ県の人口を比較し、イドリブ県では6倍の被害となる可能性があったと述べている。
    参考

地図:東グータ地域(2014年2月27日初版作成)
Created by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 3.0 license

アフリン地域の状況

  • トルコ副首相は、アフリン地域について、シリア政府が多くの自国民を殺してきたことを理由に挙げ、アフリン地域の統治をシリア政府に引き渡すことは考えられないとし、アフリン地域の統治は、地域評議会が担うべきとの考えを示した。また、シリア国内での軍事作戦の目的は、トルコ国境沿いのクルド系武装勢力の脅威を排除することであると述べた。(参考

    ※トルコ政府は、4月12日に、アフリン市に地域評議会を設置。 地元の年長者により、評議会の構成員として20名(クルド人11名、アラブ人8名、トルクメン人1名)が選出された。

    5月17日現在、アフリン解放議会が設置され、100名の議員が所属。地域評議会の構成員は計30名となっている。同議会は、定期会合を行い、非営利団体がモニタリングを行うとされている。どの「非営利団体」なのかは不明。(参考)(参考2

  • 過去24時間、アフリン地域では戦闘行為は行なわれておらず前線に動きはない。5月17日時点で、タルアフィアート地域は、クルド人民防衛隊(YPG)と親シリア政府武装勢力(NDF)が支配している。

    ※2018年1月20日、トルコ軍は自由シリア軍(FSA)とともにアフリン地域への軍事侵攻を開始。主にクルド人民防衛隊(YPG)と激しい戦闘を行った。2018年3月18日、トルコ軍がアフリン市を制圧した時点で、トルコ政府は、アフリン地域を完全に支配したと発表した。3月25日、YPGと親シリア武装勢力(NDF)支配下となっているアフリン地域の一部(タルアフィアート地域)について、トルコ大統領は軍事侵攻を行うとの発言をしたが、これまで軍事作戦は実施されていない。

    シリア人権ネットワークは、アフリン地域での戦闘による民間人被害者は、564名と発表している。(参考

地図:アフリン地域(2018年1月21日作成)
map created by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 4.0 license.

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