ダマスカス南部、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況(5月14日時点)

※5月14日15時(シリア現地時間)から過去24時間の動きを反映
ダマスカス南部、イドリブ県、ハマ県北部、アフリン地域の状況

イドリブ県、ハマ県北部の状況

まとめ:

  • 過去24時間、露/シリア政府は、ハマ県北部・イドリブ県南部に対し、砲撃による攻撃を実施した。
  • シリア人権ネットワーク:政府軍に拘束されていた、モスクのイマーム(オマル・アリ・シャマ氏)が、亡くなっとことを確認した。オマル氏は、シリア北部ハマ県出身。2012年9月11日に、ハマ県で政府軍に拘束され、行方がわからなくなっていた。今年5月10日に死亡が確認された。(参考
  • 5月12日、イドリブ市で自動車爆弾が爆発した事件で、少なくとも12名が死亡した。シリア人権ネットワークは、本日、地元の弁護士(アハマッド・バクダシュ氏)の死亡を確認した。現時点で、主犯は分かっていない。(参考
  • 5月14日、トルコ軍は、イドリブ県南西部(ハマ県北西部)に11ヶ所目の監視所を設置した。場所は、シャフラナズ近郊で、ガブ平野を見下ろせる位置。(参考

    ※前回のアスタナ協議では、緩衝地帯(de-escalation zone)の設置についても協議された。トルコ政府は、同協議でシリア国内に、12ヶ所の監視所を設置するとしている。

  • 5月13日、イドリブ県南部には、ホムスの包囲地域の避難者約3,737名を乗せたバスが到着した。避難したのは、民間人と反政府勢力の戦闘員。これまで、ホムスの包囲地域からは、約18,000人が避難している。避難者は、イドリブ県内2ヶ所にある、避難所、学校、モスクで避難生活を送ることになる。(参考)(参考2

    ※2018年4月15日以降、ホムスの包囲地域に対し、政府軍・親政府武装組織(NDF)・露軍は軍事侵攻を開始。地上軍の侵攻に加え、包囲地域内へ無差別の爆撃が続いた。露軍は、民間人被害を意に介さない攻撃を行うと同時に、包囲地域からの民間人の脱出を阻むため検問所を閉鎖。撤退条件に従わせるための圧力を掛けた。

    5月2日、ホムスの包囲地域を支配していた反政府勢力は、撤退することで露政府と合意した。5月7日、反政府勢力戦闘員と住民は、シリア北部への避難を開始。露政府と反政府勢力は、1)反政府勢力のシリア北部への撤退、2)重火器の放棄、3)徴兵忌避者に6ヶ月間の猶予を与えること、などの条件について合意している。
    参考1)(参考2)(参考3

地図:イドリブ県、ハマ県北部、アレッポ県西部(2018年1月末時点)
Derived from work by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 4.0 license.

ダマスカス南部の状況

まとめ:

  • ダマスカス南部の包囲地域(ヤルモック:ISIS支配)では、政府軍による軍事侵攻が継続。政府軍が優位に戦闘を勧めている。両勢力が地上戦(ハジャール・アスワード、タダモン地区)で衝突していることに加え、ヤルモック内には、激しい空爆と砲撃が行なわれている。住民の多くはパレスチナ難民。(参考

    ※国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、2018年2月時点で、ヤルモック・キャンプには、約6,200人のパレスチナ難民が住んでいる。また、シリア全土では、約5万人のパレスチナ難民が政府軍に包囲された地域に住んでいる。(参考

  • ******

  • 5月14、カザフスタンの首都アスタナで、第9回シリア和平協議が開催された。トルコ、ロシア、イラン政府に加え、シリア政府と反政府勢が参加している。米国は、オブザーバーとして招待されたが、不参加。1)緩衝地帯(de-escalation zone)の状況、2)人質の解放、3)憲法制定委員会の設置、について協議される。同会議は、明日15日まで開催される。(参考)(参考2

地図:東グータ地域(2014年2月27日初版作成)
Created by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 3.0 license

アフリン地域の状況

  • 国連:アフリン地域の状況(5/8版)
    ・現在まで、タルアフィアート地域では、6万人が(住民・避難者として)登録されており、登録手続きは続いている。
    ・約13.5万人がアフリン地域内で生活している
    ・アフリン地域の支援に、73百万ドル(約73億円)が必要
    ・アフリン地域への人道支援団体のアクセスは、現在も制限されている。
    ・住民は自由に移動することができておらず、アフリン地域への帰還、またはアレッポ市への移動は、それぞれトルコ軍/FSA、シリア軍により妨げられている。
    参考

    ※シリア政府側(ダマスカス)に拠点を持つ国連機関から出ているレポートのため、ダマスカスに拠点を置くNGOとSARCがアクセスできる3ヶ所(タルアフィアート・ノブル・ザハラ)についての情報が多い。トルコ側からシリア政府支配地域への支援ができないのと同様に、政府側からアフリン地域への越境支援は、ほぼ不可能。トルコ側からの人道支援は行なわれると聞いている。アフリン地域は、トルコ政府が「実効支配」している地域のため、国連が支援の調整はできない。これは、シリア北部のジャラブルス地域と同様。

  • 過去24時間、アフリン地域では戦闘行為は行なわれておらず前線に動きはない。5月13日時点で、タルアフィアート地域は、クルド人民防衛隊(YPG)と親シリア政府武装勢力(NDF)が支配している。

    ※2018年1月20日、トルコ軍は自由シリア軍(FSA)とともにアフリン地域への軍事侵攻を開始。主にクルド人民防衛隊(YPG)と激しい戦闘を行った。2018年3月18日、トルコ軍がアフリン市を制圧した時点で、トルコ政府は、アフリン地域を完全に支配したと発表した。3月25日、YPGと親シリア武装勢力(NDF)支配下となっているアフリン地域の一部(タルアフィアート地域)について、トルコ大統領は軍事侵攻を行うとの発言をしたが、これまで軍事作戦は実施されていない。

    シリア人権ネットワークは、アフリン地域での戦闘による民間人被害者は、564名と発表している。(参考

地図:アフリン地域(2018年1月21日作成)
map created by MrPenguin20, distributed under a CC BY-SA 4.0 license.

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