
Photo credit: WFP/Hussam Al saleh
皆さんこんにちは。
これまでのブログでは、
などの概要をまとめてきました。
また、ここ2回のブログでは、
東グータ地域内に取り残された人々と環境に焦点を当て、
という点を、まとめました。
このブログでは、前回に続き、東グータ地域内に取り残される人々について、
- 避難所や居住場所の環境はどうなっているのか?
- 教育を受けることはできているのか?
という2点についてお伝えしたいと思います。
避難所や居住場所の環境
東グータ地域における民家の損壊状況に関する調査では、76パーセントの民家が損壊していると言われています。
シリアの他地域では、4パーセントの民家が損壊していると言われているため、東グータ地域の被害が深刻であることがわかります。
公共電力は利用できない状況であり、主な電力源はディーゼル発電機です。
ディーゼル燃料も手に入りづらい環境であり、地域外に比べて各世帯が負担する電気代は、平均で21倍以上になっています。
また、水道施設も利用することができません。
一時的に給水車を利用することができた地域もありますが、多くの住民は、使われていなかった井戸から水を汲み上げて、生活用水として利用しています。
井戸水は、揚水量も限られており、飲料水として適さない水質ですが、選択肢のない住民は、この井戸水を飲んでいます。
東グータ地域の住民が安全な水へアクセスするためには、壊れた水道施設の復旧が求められていますが、食料を地域内へ運ぶことすら難しい状況のため、復旧の見通しが立っていません。
教育の環境
東グータ地域では、就学年齢の子どものうち、35パーセントしか教育を受けることができていません。
東グータ地域では、薪を集めることや井戸から水を運ぶことが、子どもの日々の仕事になっており、学校に通うことが出来る子どもは限られます。
授業を行える学校は限られ、1教室当たりの生徒数が多すぎる状況で、また十分な文房具や教科書も生徒に支給されていないため、教育の質を確保することができていません。
更に、シリア政府は学校を攻撃対象としているため、通学中や勉強中に被害に遭うことを恐れ、学校に通うことを辞める生徒も出ています。
2017年11月には、3つの学校が政府軍による攻撃を受け、生徒や教師が亡くなっています。
教育施設に対する攻撃の脅威が高まったことにより、一部地域では休校とする学校も増えており、子どもの教育を妨げる要因となっています。
まとめ
- 東グータ地域では、76パーセントの民家が損壊している。
- 公共電力は利用することができず、ディーゼル発電機で電力を賄っているが、高額の燃料費を負担しなければいけない環境にある。
- 水道施設も利用することができず、使われていなかった井戸の水を飲料水に使っている。水質は悪く、健康上のリスクが懸念される。
- 就学年齢の子どものうち、35パーセントしか教育を受けることができていない。
- 学校が攻撃対象となっていること、教材や文房具の不足、教育施設の損壊などが、子どもの教育を妨げている。
関連記事:
東グータ地域に取り残された人々 (1)
東グータ地域に取り残された人々 (2)
東グータ地域に取り残された人々 (3)
東グータ地域に取り残された人々 (4)
東グータ地域に取り残された人々 (5)
参照:
FACTSHEET – EAST GHOUTA (UNOCHA, 2017.12.8)
Eastern Ghouta Situation Overview (REACH Initiative, 2017.11)
Syria: Medical services stretched beyond limit after shelling in East Ghouta (MSF, 2017.11.27)